コラム
梟と時計が語りかけるもの
腕に舞い降りた梟。
その爪には、砂時計が握られています。
梟は一羽だけでも存在感のあるモチーフですが、時計や植物など別の象徴を組み合わせることで、その人だけの物語へと広げることができます。
梟と「時間」
梟は古くから、知恵や守護など、さまざまな象徴として語られてきました。
昼間はじっと静かに佇んでいますが、夜になると闇の中を静かに飛び、本来の能力を発揮します。
眼球そのものを大きく動かせないため、首や身体を大きく動かして周囲を見る。その独特の仕草は、ときに時計仕掛けのようにも見えます。
そこに砂時計を組み合わせると、梟にはもうひとつ「時間」という物語が加わります。
砂が落ちていく、限られた時間。
そして、ひっくり返せば再び始まる時間。
この作品では、梟がその砂時計を爪でつかみ、どこかへ運んでいこうとしています。
意味は、あとから重なっていく
梟の足元にある青い薔薇。
この色は、お客様ご自身が選んだものでした。
この作品の中では、青い薔薇を「永遠」として捉えています。
梟が運んでいく時間と、その足元に咲く永遠の薔薇。
面白いのは、この物語を最初からすべて決めてデザインしたわけではないことです。
お客様が選んだ色と、梟、砂時計。
それぞれが身体の上で重なったとき、ひとつの物語としてつながりました。
神話や象徴は、過去から受け継ぐだけのものではないと思っています。
古くから伝わる意味に、その人自身の経験や時間を重ねることで、新しい意味が生まれることもあります。
一つのモチーフから、物語を広げる
腕や背中など広い面を使ったタトゥーでは、ひとつのモチーフからさらに物語を広げることができます。
梟に時計や砂時計を組み合わせる。
月や星、植物を加える。
神話と結びつける。
大きな作品の魅力は、単に図柄を大きくできることではなく、身体の上に物語を描けることだと考えています。
最初は「梟を彫りたい」という一つの希望だけでも構いません。
そこから、その人にとって意味のある象徴を重ねていくことで、同じ梟でもまったく違う作品になります。
私自身、梟という生き物には、なぜか「時間」を感じます。
現実に存在しているのに、どこか別の時間の流れを生きているような不思議さがある。
だから私は、梟と時計を組み合わせて描きたくなるのかもしれません。
モチーフを選ぶことは、自分自身の物語の入口を選ぶことでもあります。
もしあなたが梟を選ぶなら、その梟に何を託すでしょうか。
まだ答えが決まっていなくても大丈夫です。
一羽の梟から、あなたに合う象徴や物語を一緒に探し、ひとつのデザインへと組み立てていくこともできます。




